中央銀行から見る2020年見通し

2019年は米中貿易戦争と製造業悪化によりFRBは利下げを実施。
FRBは2018年まで利上げをしていたので、利下げ余地が十分にあり、あくまで「保険的利下げ」を主張していました。
一方マイナス金利の深堀りを余儀なくされたのがECBです。
これはEU経済が2019年に非常に困難な状況に置かれたということは言うまでもありません。

現在、米国、EU、中国は経済成長に若干明るい兆候が見られている。
しかし経済は上向きという訳でもなく、各国中央銀行ハト派な金融政策に転換したことは事実です。
米国は金利を据え置く見通しですが新興国市場では未だに利下げ圧力があり、2020年に追加利下げを実施する可能性がある。

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米国市場
2019年の米国市場は業績を無視したFRB主導の相場でした。
2020年もその流れが引き継がれる可能性があります。
株式、為替トレーダーは特にFRBの政策とコメントに注目しなければいけません。
4日に発表されたFOMC議事要旨では、現在の金融政策は当面適切である公算であると当局者は認識しているようです。
19年12月の会合でも20年の金利は変更しない見通しが立てられています。
つまり、今年は19年ほど緩和マネーが米国株に流れない可能性が高くなります。
そうなると米国株は業績で勝負しなければなりません。
業績はというと米国統計は良くも悪くもない、まちまちな状態ですので業績で勝負するには足りていないと考えています。

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一方ドルは20年金利変更無しの見通しから考えると、現在の1.75%という政策金利は非常に居心地が悪い状況下に置かれる可能性があります。
金利が上下共に変動余地を残すとドルは横ばいになりやすくなり、そうなればドルのボラティリティは低下して不安定化する恐れがあります。

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これら総合的な判断から2020年米国市場の見通しはニュートラル~弱気です。

 


欧州市場
2019年の欧州市場はドイツなどの製造業が悪化したことで、さらなるマイナス金利に踏み込みました。
しかし、ECB当局者からマイナス金利による金融リスクが指摘されており、ラガルト総裁も政策見直しの検討を行なうと約束しており20年は金利を維持しつつ、ややタカ派に傾くのではないかと考えています。
これらのことから19年ほど緩和マネーが株式市場に流入しない公算になります。
さらに製造業などの業績不安はすぐに回復する可能性は低く、業績勝負の強気株高は見込んでいません。

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一方ユーロはECBがタカ派化されマイナス金利の検討がされたら、ECBのドット次第でユーロが値上がりする可能性もあります。
しかし、業績の回復が見込めるまで慎重な値動きは続くと考えています。

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これら総合的な判断から2020年欧州市場の見通しはニュートラル~弱気です。

 


日本市場
2019年の日本市場は年中盤から上昇へ転換しています。
米国の長期金利が回復したことや、円安が株式を支援していました。
日本政府による財政政策により20年の金利は変更されない見通しです。
日本株は業績より為替の動向に影響されやすいので、海外リスクなどによる円高日本株上昇の歯止めになる可能性があります。

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一方円は日銀ガイダンスが緩和方向を継続しており、日本輸出の支援から安い円を維持するスタンスが続くと思いますが、外国初金融リスクや地政学リスクが生じた際は逃避先として円買われ流れは変わらないと思います。

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これら総合的な判断から2020年日本市場の見通しはニュートラル~弱気です。