米国経済 ~近づく暗黒の日~
クリスマス休暇やお正月前に不快なタイトルで失礼します。
ここに書いていることはあくまで私の分析、意見です。
私は金融トレーダーとして国際情勢を分析していますが、現在の経済状況は2007年の金融危機の雰囲気と非常に似ていると感じています。
現在、株高や緩やかな金利上昇でバブルと判断しにくい状態です。
しかし、実体は富裕層に資産が集まり、中産階級の生活水準は下がり続けています。
これはFRBのバランスシートです。
FRBのバランスシートは過去最高の4兆7000億ドルで、過去4カ月で3306億ドル増加しています。
バランスシートとは一言で言ってしまえば負債です。
負債はバブルが弾けた時にレバレッジとなります。
FRBは今年から緩和政策へ転換しています。
過去二回の利下げの後にはリセッションが訪れています。
今年FRBは金利を引き下げています。
FRBパウエル議長は「保険的利下げ」という文言を強く協調していましたが、これは市場を刺激せずにバランスシート拡大を正当化するためだと思われます。
11月に発表された米国雇用統計では26万人の雇用を生み、失業率は3.5%に低下しました。
確かに強い数字ですが、雇用人数や失業率だけでは労働市場が本当に強いのか、判断することはできません。
これは外の数字であり大事なのは中身の数字であり、私は本当の数字を理解するために労働力率を見ます。
労働力率は経済の活発な労働力による尺度です。
数字は雇用されている、又は積極的に雇用を求めているすべての労働者の合計を制度化されていない一般市民の労働年齢人口で割ったものです。
2016年から低い水準が続いています。
つまり、トランプ大統領が言う「過去最高な状態」というのは全くのウソです。
国民の生活レベルを確認するうえで国民一人当たりのGDPや消費者物価指数、平均時給を見ている人が多くいます。
しかし、これも外の数字であり中身の数字ではありません。
私は内需環境を確認する際には上記指標とローン延滞率を見ます。
例えば自動車ローン延滞率です。
今年の自動車ローン延滞率(延滞90日以上)は過去最高です。
つまり中産階級の生活レベルが社会に追いついていないことを意味しています。
アメリカ人のほとんどが中産階級であることを忘れてはいけません。
これは米国株です。
今年過去最高値を更新しています。
良好な雇用統計や米中貿易摩擦が緩和したことで株価が買われた、という理屈は正しくない訳ではありませんが本質は違います。
株価が上がった理由はバランスシートにあります。
最初に述べたようにバランスシートは増え続けています。
緩和マネーが最終的にたどり着くのか?
株式です。本質は莫大な緩和マネーをFRBが作り出し、株式市場へ流れています。
株式が上がった本当の理由です。
ドル円の月足チャートです。
現在は持ち合い部分の先、つまり値動きが縮小しています。
ボリンジャーバンドの幅を指数化したものを表示させています。現在ボリンジャーバンドは0.07に低下、ボリンジャーバンドが低下すれば大きな値動きが高確率で起きます。
そして0.07は2007年サブプライム問題以来の低下です。
さらにマーケットの勢いを確認するためにADX(平均方向性指数)を表示させます。
ADXは20.0以下のレベルまで低下していることが分かります。
つまりマーケットに勢いはなく、弱気になっていることを意味します。
ドルの価値は信用)は高いように見えて1913年と比べて100分の1になっています。
ロシアのウラジーミルプーチン大統領は11月に興味深いことを言っています。
『ドルは世界中で大きな信頼を享受した。しかし何らかの理由で政治的武器として使用されている。多くの国は現在、準備通貨としてドルから遠ざかりつつある』
私は現在の米国はバブルであると考えています。それもこれまでにない深刻なバブルです。一番の要因はバランスシート拡大です。
株式を担保に借金する政策が行き過ぎたらバブルが弾けた時、負債は国民が払うことになります。
もし、そうなれば暗黒の日が到来することになるでしょう。