新型コロナウイルスがもたらすリスクとは何か?

f:id:thomasc:20200320033433j:image

新型コロナウイルスの本質的なリスクは人体に与える影響ですが、今回は金融市場におけるリスクをテーマにしたものとなります。
新型コロナウイルスの影響で今年1月から数えたダウ平均の下落幅は19日時点で-29%です。

 

新型コロナウイルスのリスクは大きく分けて三つです。
1.支出の滞り
新型コロナウイルスで多くの労働者は自宅待機となっていて、自宅待機の期間は勤め先から給料がもらえず無給な状態が続くことになります。
無給な状態が続けばローン、家賃、クレジットカードの延滞率が上昇します。

 

2.実体経済の悪化
新型コロナウイルスで企業が営業難に陥り、人件費削減に動きます。
そうなれば失業率が上がり、雇用も減ることになります。

 

3.ドル不足
現在、企業や銀行からドル調達需要が急上昇しています。
19日時点のドル円ベーシス・スワップは−130bsを割り込み、リーマンショック以来のマイナススプレッド幅です。
f:id:thomasc:20200320033235j:image
ドル需要が強いとスプレッドのマイナス幅が拡大します。
何故、ドル需要が増加したのかというと、新型コロナウイルスによる経済見通し悪化から「今ドルを調達しないと後で調達できなくなる」という不安が銀行や企業にはあります。
何故ならドル調達ができなければドル建て負債の返済が滞るリスクが生じるからです。
ドル不足は商業銀行やその他金融業者の経営を揺るがすリスクがあります。

 


まとめ
この3つリスクを聞くと不安でたまらなくなると思います。
短期~中期の金融市場はある程度、影響を覚悟する必要があると思います。
しかし、本来の問題である新型コロナウイルスが過ぎ去れば同問題も解消されると思います。
実際に新型コロナウイルスの感染元である中国では、感染者数が減っており感染がピークに達した可能性があります。
そういったようにアメリカや欧州でもいずれは感染のピークアウトをつけるので、経済見通しが回復するのは時間の問題だと見ています。
ドル不足なのは確かですが、ドル調達の動きは過剰反応であり、一般市民がマスクやトイレットペーパーを買いあさる心理と似ています。